轟音事変

轟音は"ごうおん"と発音してください。

昼寝をやめて読書をするようになった話

社会人になってから昼寝が習慣化していた。予定がなければ、昼食のあとによっこらせと寝やすい姿勢を取り、眠りにつくのである。

昼寝をしないと午後の早い時間に極端な眠気が襲ってくる。それはもう立っていても寝てしまいそうな眠気だ。異常ではないかと考え、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けたほどだ。検査では傾向は見られたものの、軽度なものだったため、そこまで心配する必要はないとのことだったが、実際の労働においては長年の課題だったのである。

それで、どうせ極端に眠くなるならいっそのこと思いっきり昼寝をして眠気を解消してしまえばいいと考え、シエスタを導入した。だいたい30分程度寝るが、たまに1時間以上寝てしまう…ということもあった。とにかく、寝ようと思えば気絶したように寝てしまうのだ。

昼寝は上手くいけば気分転換になる。眠気も消えて頭も冴える。それを狙って昼寝をするのだが、うっかり失敗すると、気だるさが増し、頭もずっしりと重たくなることもあった。そういう時は二度寝をして解消を図るのだが、ただただ時間を浪費していた。

どうにかならないものか、と考えた時に昼寝は短時間(20分程度)ならメリットはあるが、それ以上だとむしろリスクが上がる、という記事を目にした。

natgeo.nikkeibp.co.jp

自分の昼寝は20分で済まない場合も多く、リスクを上げていた可能性があることを知り、それまでの習慣を変更する方法を本気で考えるようになった。

それで1日の予定を考えた時に、他に習慣化している時間があった。それがジムで筋トレをしている時間だ。このジムの時間を眠気が襲う時にぶつければ、対消滅して効率良いのでは?と考えて、実践してみた。昼食→ジムの順である。

結論からいえば、これは一点無理があった。昼食直後にそれなりに激しい筋トレを行うので単純に吐きそうになるのである。ただし、昼ジムは空いているため効率よく鍛えられ、眠気も吹っ飛ぶことは実感できた。時間効率的な意味合いでいえば昼ジムはありだったのだ。

それでジムの前に消化の時間を取ればいいことがわかったので、昼食後に睡眠欲を我慢しながら仕事をしてみたり、はてなを見たり、何かしらの動画を見たりすることでやり過ごすことを試みた。何とか堪えられることはわかったが、いかんせんとにかく眠い。眠いと何をするにしても非効率である。

そして再度、この昼に眠いという状態そのものを改善する方法を考えた結果、夜の睡眠時間を伸ばすことにした。上に紹介した記事にも書かれているが、いつもより1時間ほど長く寝れば昼間の眠気は改善されるらしく、それを試してみたのだ。

長年昼の眠気に悩まされてきた身としては「こんなことで改善されるだろうか…」と、かなり疑問ではあったが、これが予想以上の効果てきめん。昼の眠気がわかりやすく改善されたのだ。具体的には8時間半の睡眠がどうやら自分にはベストのようである。それまでは6時間寝ればOK、という考え方だったのだがその根本的な考え方自体が誤りだったという結論になる…

睡眠時間を確保するために就寝時間を決める。そうすると起床時間が決まり、一日のリズムが固定化される。すると、昼食後の眠気も見事に収まる。とてもいい感じなので、これはもしかして…と思い読書をはじめてみた。以前は眠気のせいで読書は絶対に無理だったのだが、なんとできるようになっていた。それなりに難しい本でも読み込むことができる…驚いた。それまでただ寝ていた時間が読書の時間になったのだ。

読書をすると、メンタル的にも落ち着くことがわかり、非常によい時間を過ごせることがわかった。さらにデフォルト・モード・ネットワークの考え方を実践するため、読書後10分ほどぼんやりと空を眺める時間を取ることも試している。それまでは10分もぼんやりしていたら、睡眠欲が襲ってきていたが、今はそんなことはない。

ご飯を食べ、読書をし、空を少し眺めて、ジムで徐々に追い込む、が今の昼のワンセットだ。もしかしたらトータルの睡眠時間は以前とそう変わらないのかもしれないが、心身共に1日全体の安定感が増した点は大きなメリットだといえる。

そして、本質的な変化でいえば、それまで自分は「鉄人的な働き方」に憧れがあったように思う。だからこそ、睡眠時間は6時間で十分といった前提があったのだと思うが、そうした思想からの脱却につながった点も大きい。人はそれぞれ適性があり、その適正にそって生きたほうがどうやら生きやすいようだ、と理解することができた。

自分の習慣はレアな事例だと思うので、あんまり参考にならないかもしれないが、同じように昼の睡魔に悩んでいる人の役に立てば幸い。