轟音事変

轟音は"ごうおん"と発音してください。

働き方をリズム式に変えたらピタっとはまった話

一日のスケジュールを学校の時間割のように、前もって決めて置けば効率は上がる。

昔から「どうやって自分の能力を最大化できるか」という思想があったのだが、最近はさらによくこのことを考えるようになった。夏休みの宿題をギリギリまで寝かせ、熟成し、発酵してきたところで、おっ臭うな…と思ったところでようやく手をつけたと思いきや、もう少しいけるな…とさらに寝かせるタイプの人間としては、この辺の思想はめっちゃ大事だし、長年の悩みでもあるのだ。ちなみにさっさと片づけられる人はもうそれだけで天才だし、尊敬しちゃう。

それで、ここ数年は

mikamikami.hatenablog.com

↑こんな感じで何とかかんとかやってきたが、2020年の4月あたりからコロナ禍の雰囲気も影響したこともあり、パフォーマンスがずいぶんと落ちた。落ちたっていうか死んだっていうか。ほぼ個人でやってる身としてはパフォーマンスが死ぬってことはお前が死ぬってことなので、こいつはいかんな…死ぬな…とよっこら再建を図った。

それで、最近うまくはまっているのがリズムを刻む生活。フリーに仕事をしてると、定時とかあるようでないようなもので「作業優先」にしちゃいがちだと思う。これ終わったらごはん食べようとか、これ終わったら帰ろう、とか。経験でそれなりにマネジメントはされてるから、それなりな感じにはなるんだけど、それなりなんだよね。ぐだぐだする部分はどうしても出てくる。だから、そこを改善するために「時間優先」に切り替えた。普通に働いている人の感覚ではなんだそれ…当たり前じゃん!って感じだとは思うんだけど、裁量ある人なら感覚わかるんじゃないかな。作業もぶつ切りで時間優先。宿題はギリギリ派だけど、授業は必ず出れる派としてはこれがうまくはまっていい感じになった。

1日の大まかなサイクルは起床、朝食、午前仕事、昼休憩、ジム、午後仕事、帰宅。って流れ。間にジムを挟んでいるのもポイントで、ちょっと眠くて作業効率も落ちる時間帯に体を動かすタイミングを入れる。ジムも空いてるから効率がよく、必ずサウナも入るからリセット感があり、午後仕事に気分を変えて入れるのも大きい。とにかく時間で区切るからジムにいるときも猛烈に急いでやるんだけど、それもそれでよい。

このサイクルを回す上で重要な鍵となるのは「就寝時間」だ。寝る時間が崩れると起きる時間が崩れすべてが崩れる。だからキーになる習慣は就寝時間と認識し、そこを守るような意識を保つようにしている。起きる時間ではなく、寝る時間がポイントだ。

なぜこの方法がよいか考えると習慣の力という本を思い出す。この本には習慣は「きっかけ→ルーティン→報酬」の仕組みで成り立っていると書いてあった。このきっかけをすべて時間に置き換えると考えれば少し納得がいく。さらに時間割なので事前に徹底して組んでおくこともこの方法のポイント。スケジュールを相当しっかり組むからこそ無駄な時間を意識的に排除できるのもよい点だ。

というわけで、最近はリズムを刻み生活を安定化することに執着していることを書いてみた。さらに最近ではそこから飛躍し「常にご機嫌でいられるにはどうすればよいか」みたいな要素も取り入れて実践している。どちらかといえばずいぶんご機嫌なタイプだとは思うんだが、もう少し分析してよりよくしていきたい。

東京都の新型コロナ感染者の統計について

ここのところ、東京都の新型コロナ感染者数に関するニュースにせっせと以下のようなブコメを入れている。

東京都 新たに112人の感染確認 再び100人超に 新型コロナ | NHKニュース

いつもの ⇒ 東京都の検査実施件数(保険適用含)。4/2~8→検査数5041件、陽性数751件、陽性率14.9%。4/9~15→検査数6338件、陽性数1106件、陽性率17.4%。4/16~22→検査数8076件、陽性数994件、陽性率12.3%。※金曜更新/率は目安

2020/04/28 16:39

b.hatena.ne.jp

↑こういうやつ。これに関して自分の整理も含めてQ&A形式で解説。

◆前提
情報に関してはなるべく慎重に扱っているものの、もちろん公式情報ではないから気になるなら自分で調べような!自分で調べると情報をインストールしやすくなるからおすすめだぞ!

◆情報源はどこからですか?
東京都のコロナウイルス対策サイト。

stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp

◆情報はどうやって調べてるんですか?
地道に抽出。

◆なぜ感染者数のニュースにブコメを入れてるんですか?
日毎の感染者数は一つの指標ではあると思うけど、それだけでは現状を理解するには不足している。捕捉する意味合いで、他の指標を足してる。ほんとはメディアがちゃんとやってくれよなーとは思ってるよ。

◆検査実施件数とはなんなの?
その名の通り、コロナの検査を行った合計回数を指す。1人に対して複数回行った分はそのまま全部カウント。例えばハマオカモトが検査を受けたニュースがあったけど、

www.chunichi.co.jp

これは1人に対し、2回検査を行い陰性判定を受けている。人数ベースでは1人だけど、実施件数は2回。WEB系の人なら人数=UU、件数=PVという理解だとわかりやすいのではないかと思う。

◆保険適用含ってなんですか?
東京都のPCR検査は保健所経由と民間検査会社経由の2種類があって、このうち民間検査会社経由のことを保険適用分と呼ばれている。それで大変ややこしいのが、保健所経由は陽性数、検査数ともに「毎日」報告反映されているが、民間検査会社経由(保険適用分)は「毎週金曜日」にまとめて前週木曜日から当該週水曜日までの分が反映されることになっている。だからブコメにも金曜更新と書いた。詳細は下記リンクを参照。

kunikazu.jp

◆というか人数ベースの方が陽性率を正確に出せるのでは?
そうだよ。例えばだけど、1人に1000回検査をしたのも、1000人に1回ずつ検査をした場合も件数ベースだと同じ1000件になる。だから件数ベースだと何人中何人が陽性だった、という数値は出せない。だから件数ベースの陽性率なんてあてにならないんだけど、そうレギュレーションも大きく変わらないだろうから、傾向を判断する目安にはなるかなーと思い掲載してる。人数ベースで出せればより正確に情報がつかめるのだが、民間検査会社経由は人数ベースの報告がないため実数は不明。

◆いつの検査結果かもわからないよね?
わからん。わからんから日毎ではなく週単位で見てる。

www3.nhk.or.jp

↑まあ…検査結果はこのニュースを参考にすると長い場合で4~5日程度かかるようだから、現状では今週の陽性数は先週の検査数と紐づいている可能性が高い。ただ検査結果期間も区により違うし、安定もしていないはず。4~5日よりも短くなったり、長くなったりするだろうから実態はわからん。

◆わからないだらけでは?
ほんとそう。わからないことだらけ。そのわからん状況の中で、まだまともに傾向を判断できる数値が毎週金曜に発表される保険適用分を合算させた検査実施件数くらいだから、今はここを見て数字ではなく傾向だけを見てるって感じ。検査人数もそうだし、検査日と結果日の差異も是正された情報があればより正確な数字が出せる。というか、大きな決断を下すには現状分析は必須なはずで、きっと中の人たちは数字を正確に出しているはず…だと信じたいのだが、まさか表にでている数字がすべて…なわけないよなーとは思ってる。まさか雰囲気で緊急事態宣言やってるわけでもないだろうし。数値の公表に関しては都議が改善要求をしているようだから、改善されればいいな。

◆ちなみに…どうして調べてるんですか?
現状を正確に理解し、さまざまな施策に役立てるため。例えば子ども支援団体に関りがあるんだけど、その場所の運営にあたり様々な想定や判断をするためには正確に現状を理解する必要がある。ちなみに自分は宮城在住のため、宮城に関してはより詳細にまとめて管理してる。とはいえ、東京の情勢が地方にも大きく影響を与えるから、東京もモニタリング対象として傾向をつかむようにしている。といった感じ。

ケトジェニックダイエットをやってみた

相変わらず、ダイエットをしている。
終わりがあるのだろうかと思う時もあったが、今は「目標達成のその後」を考える程度には終わりが近付きつつある。

2018年9月「98キロ」まで達成した私は(またやっちまった…)という思いとともに、人生で幾度目かの減量生活がはじまった。詳しい減量記はまた機会を作って書きたいと思うが、まずはゆるい運動と、ゆるいカロリー制限を半年ほど続けて、結果的には20キロ近く痩せた。そこそこ痩せると体は「おいおい体重ちょっと減らしすぎなんじゃないの?」となり、省エネモードが発動して肉を溜め込もうとする「停滞期」に入る。

それでも地道にカロリーを抑えていれば再度体重は減り始めるのだが、今回はせっかくなので「ケトジェニックダイエット」にチャレンジすることにした。数年前から特に筋肉系youtuberや山本義徳氏の影響でトレーニー界隈には広く知られ、最近ではメディアでも取り上げられることもあり、聞いたことがある人も増えたのではないかと思う。

そもそもケトジェニックとはなんぞや?という方は、公開されている山本祐司氏の論文が細かくその仕組みを論じているため、こちらを読んでみるとよい。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/9/54_650/_pdf

わかりやすく書けば「糖質を枯渇させ、その代替エネルギーを脂肪で補う方法」になる。通常人は摂取される糖質(米とか砂糖とか)を動力源に活用しているがそこを遮断し、体内にストックされた脂肪をメインエネルギーに変換するのだ。例えればレギュラーガソリンから軽油に切り替えるようなものである。脂肪をエネルギーに変換されると「ケトン体」というエネルギー源が生成される特徴があるため、ケトン体生成を意味する「ケトジェニック」という言葉がつけられている(と解釈している)。
脂肪をメインエネルギーに変換するから脂肪がガンガン減るよ!という話になりそうだし、実際にそのように説明している情報サイトも多いのだが、論文にも書かれている通り「ダイエット効果はあるもののメカニズムについてはいまだ詳細に解明されていない」代物であるため、その点は注意が必要だ。
詳細な解明はされていないけれど、確かに脂肪燃焼効果はあるっぽいね!ということで取り入れている人が増えているのが現状だ。

では、物は試しと今回実践してみたのである。

◆食生活
大きな特徴は食生活だ。ケトの場合、その性質から糖質を著しく削る必要がある。1日「20g~50g」と言われているが、理論上少なければ少ないほうがよいため目標値は「20g」とした。参考までにおにぎり1個の糖質量が「40g~50g」程度。おにぎり1個も食べられないのは当然として、調味料まで気を配らないと「20g」は達成はできない。また、筋肉量を減らさないためにタンパク質もしっかり取り、そして残りのカロリーを脂質で賄うのである。

つまり食べられる食材は、肉(ベーコンとか加工品含む)、魚、卵、葉物野菜、チーズといった食材になる。野菜は糖質が入っていないイメージを持たれるが特に根菜はそこそこ糖質があるためNGになる。

期間中は「肉(魚)+葉物野菜の炒め物」あたりを中心に食べていた。また脂質はしっかり摂取する必要があるため、消化吸収分解が速くエネルギー変換がしやすい中鎖脂肪酸である「MCTオイル」を中心にドバドバ摂取。肉も普通のダイエットなら避けるはずの、豚バラとか牛カルビとか油ものを選んで摂取した。酒も糖質を含まない蒸留酒である、ウイスキーや焼酎はOK。

油を摂取してもいいため、この食生活は新鮮だった。がつがつ肉を食い、油を摂取する。卵を大量に使った料理に、間食はチーズとサラミ。通常のダイエットではタブーな行為がこの方法では有効な手段になる。もともと胃が強いため脂っこい食生活でも問題はない。ただし外食は選択肢が限られており、焼肉か焼き鳥、もしくは糖質がきちんと情報公開されているファミレスあたりになる。糖質量が増え、インスリンが分泌された場合、摂取していた大量の脂質がそのまま脂肪行きになるし、一度ケトーシス(ケトン体がでている状態)から抜けると、再度ケトーシスに入るまで時間がかかるので細心の注意が必要だ。

◆運動能力
一般的には糖質を断ち切るため運動能力は下がると言われている。が、これに関しては人それぞれ実感が異なるようで、自分の場合は「少し落ちた」だった。具体的には最後の粘りが効かず、レップ数が1~3回程度落ちた。ケトが終わり糖質を摂取したあとのジムでは粘りが効き、重量も上がったことから、確信に変わった。

◆体調
糖質がきれて、ふらふらしたりイライラしたりといったことは自分の場合ほとんどなかった。過去にも長期間にわたる極端なカロリー制限ダイエットも経験しており、こうした環境には適性があるようだ。

◆ケトスティック
ケトスティックと呼ばれる試験紙がある。毎朝このケトスティックでケトーシス状態をチェックをした。思ってもいなかった日にケトン値が低い日もあり「もしかしてあれのせいか!」と振り返りができるので、ケトジェニックダイエットをする人は必須だと思う。

◆周囲の反応
とにかく肉を食うし、油を摂取する。チーズやサラミも食べまくるため、まわりの人からは「それがダイエットなの?」といった反応が多かった。それで説明をする機会はたびたびあったのだが、「糖質=20g」がうまく想像できる人が少なく「肉食べていいんだね!」みたいな妙に勘違いされてしまうことは多かった。説明はしづらいダイエットではあるなあとは感じた。

◆結果
ケトジェニックはその特徴から短期型だと捉えているため、今回は「37日間」の実践となった。が、体組成計で測ったのが開始から一週間後だったため以下の数字は「30日間」の数値である。

・体重
79.4kg→76.6kg(-3.7kg)

・体脂肪
18.3%→16.3%(-3.0%)

・脂肪量
15.0kg→12.5kg(-2.5kg)

・筋肉量
61.1kg→60.8kg(-0.3g)

という結果になった。
めっちゃ痩せた!という結果にはならなかったものの、前の一か月と比較すれば下げ幅は拡大しているため一応効果はあった?のかな?という感覚ではある。特に脂肪量の減少に比べて筋肉量の減少は最小限に食い止められたという意味では悪くない結果なのではないかなと思っている。

◆反省点
途中まで「カロリーは気にせず食べる」を実践していた結果、ほとんど体重の変動が起きなかったが、摂取カロリーを厳格にしてからは一気にぐっと下がった。よくケトジェニックは「カロリー制限は必要ない」と言われるが、厳格にした方が結果が出やすいと思う(そりゃそうだって話だけど)。というか自分の胃が強いから単に食べまくれちゃうのが原因なんだよな…

◆まとめ
というわけでケトジェニックが終了した。

結果としては「まあ、こんなもんか」といった感覚ではあるが、いわゆるダイエットでタブーとされている食材をガンガン食いまくれるのは体験として面白い。その特徴から「まあいいか」が許されない点も面白く、強制力があるため逆に意識が低い人の方が向いていたりするんじゃないか?とは思った。ただやはり強制力は強いため、環境がそろってないと難しいのではないかと思う。例えば接待での飲み会とか、冠婚葬祭とか、そうした事情に対応がしづらいため、実践するためには、レギュラーな日々が続く期間が必要になる。自分の場合は飲み会があってもうまいことごまかしたり、冠婚葬祭のような強制イベントは入らなかったのでよかった。さらに自分の場合は事務所にキッチンがあり、そして近所に道の駅的な場所があるため、ちゃっと買ってちゃっと美味しく作ることができる点もうまく続けることができた要因だと思う。

しかし、やはり極端な方法であることは違いなく、副作用としてアシドーシスになる危険性もある。

ケトアシドーシス
https://www.dm-town.com/life/know03.html?link_id=sd03

そのため実践するにはケトスティックを使用してケトン量を把握することが必要になる(ケトン量は多すぎず少なすぎずが重要)。

厳格な食生活とケトン量の把握が求められるため、実践するには相応の知識が必要になる。こうした点から、バリエーションとしては面白いものの一般の人にはあんまり向いていないのではないかと思う。ただし例外として、トレーナーがついてやる分には悪くない方法かなとは思う。

というわけで現在はケトジェニックが終了し、ローファットに移行した。目標までもう少し。減量している人は一緒に頑張りましょう。

震災復興には街のグランドデザインが必要だ

震災から8年が経過した。

自分は緊急支援期に現地に入り、現在まで石巻に留まる選択をしていることもあり、たびたび外部の人から「今の状況はどうですか?」といったことを聞かれる。

8年も過ぎたのである程度落ち着いていると思われる方も多いと思うが、実はそうでもない。理由としてそれまで設計段階だった大規模工事が施工の段階にどんどん突入しているからだ。道路もあちこちで避難道路として整備されまくり、石巻で言えば橋も新たに2本増える(歩道橋の内海橋も含めれば3本)。長らく更地だった南浜周辺も復興公園に向けて、どんどん作業が進み、沿岸部はとにかくダンプやミキサー車といった働く車がひっきりなしに動いている。こうした慌ただしい風景自体に街が慣れているため、普段は意識しないものの、状況はやはり特殊なままだろうなとは思う。2021年の復興期間最終年度までこの状況は続くだろう。

こうしてどんどん街がスクラップアンドビルドされる様子を見ていて、この計画は本当に「正解」なのだろうかとたびたび疑問になる。本当にその建物は必要なのか?必要だとして復興予算がなかった場合、同じ予算をかけて同じものを作る気はあったのか?箱モノは目立つためそう考える機会が特に多いが、道路や防潮堤、企業への貸付金など疑問に思う場面は多い。

実際に自治体の重要な指標である「人口」は減少傾向が止まらず、「財政」も集中復興期間後はすぐに赤字になることがほぼ確定しており、破綻してもおかしくはない状況だ。

石巻市財政収支見通し 復興後の予算編成方針策定
3か年で82億円余不足 人口減で歳入環境厳しく
https://hibishinbun.com/news/?a=9141

現時点でいえば国費を大きく入れたにも関わらず、それに見合った効果は得られていないと判断してよいだろう。

こうした状況になっている要因は複数あると思うが、その1つに「街のグランドデザイン」を描ききれなかったという点があるのではないかと考えている。これは特に市街地で言えることだが、とにかくバラバラで、街全体でどうこうしようという意図はまったく感じられない。2012年(だったかな)に中心市街地活性化検討委員として会議に出席した際に、立町商店街と呼ばれる1つの商店街が10ほどの地権者組合として細かく分かれていることを知った。さらにその組合毎に復興計画を作成していることを知った私が「全体で計画することはできないのですか?」と聞いたところ、「それは無理なんだよ」と返ってきた。それまで喧々囂々と議論していた委員たちが唯一同意が取れた瞬間だった。現在、石巻中心市街地が新しいマンション風の建物と昔からのたたずまいが残る商店が同居する凸凹した街並みになりつつあるのはそういう理由が背景にあるのだ。

ただでさえ苦しい状況にも関わらず、市民はバラバラでバラバラな市民をまとめる行政は疲弊し主体性がないまま一部の権力者や外部のコンサルになされるがままになされた結果がいまの街の風景なのだ。と少なくとも自分は捉えている。正直な話、現状でいえば再興する可能性は非常に低いと捉えざるを得ない状況にある。

一方で隣町の女川は同じように津波で大きな被害を受けたにも関わらず、可能性は大きく違うように見える。自治体の規模は違うし、原発立地自治体ということで財政面も異なる部分もある。さらに当然「隣の芝生は青く見える」だけかもしれないが、それでも動き方や市民の声を聞いていると石巻と女川では全然違うなと感じるのである。

その違いの元をたどれば女川は震災後グランドデザインに時間をかけた。グランドデザインに時間をかけた分、目の前の作業は遅かったため「女川は復興が遅い」といった声もあったが、逆にその流れが良かったのだと思う。その話は以下の記事にまとめた。

住民主体で進む女川、その背景を探る
http://mikamikami.hatenablog.com/entry/2015/05/02/231254

復興のプロセスがまるで違い、その違いが差に大きく影響しているのだと考える。もちろん、震災前の状況から元々違いがあるし市民性も違うから一概に比較はできないが「グランドデザイン」をしっかり描けた上で進めることができたのかどうかは大きな違いを生むはずだ。

大きな震災があって街の設計を考える必要がでてきた場合はとにかくそこだけは時間をかけて市民が納得する形でディスカッションをしてグランドデザインをしっかり描いた上で進めるべきだし、さらにいえば「震災前」にやっておけばよりベストだ。震災が発生してから決定までは時間がない中で進めなければならないため、どうしても場当たり的な発想になりがちだが、日常的に未来の設計を策定していれば例え震災があっても方針は決めやすいし、スキームは活かせるだろう。

もしこれを読んでいる方で街づくり関係者や自治体関係者がいた場合は、ぜひご自身のフィールドで未来のグランドデザインを時間をかけて策定したら良いのでははないかと思う。街づくりにも役立つが、こうしていざっていう時にもきっと役立つ計画になるはずだ。

というわけで、震災8年目で何か書こうと思い書いてみた。考えがまとまらず勢いで書いたこともありだいぶ支離滅裂なのだが、まあいいか。集中復興期間は残り2年。その間にこの街がどう変化していくか引き続き注視していきたい。

わたしなりの働き方改革

最近になって自分の働き方に気づいたことがある。

それまで勤めていた会社が倒産し、あーあー言いながら半ば強制的にフリーランスになり、なんだかんだで社団を立ち上げ、最近もなんだかんだで会社を立ち上げ生きてきた。従業員がいたこともあったが、基本的には「1人」でやっている期間が長く「1人」が性に合ってるし、なんだかんだ働きやすいと思い続けていた。

一方で昔からどうも1人で事務所にこもって仕事をしていると調子が悪い。すぐに眠くなるし、作業もあんまり進まないし、たびたびさぼるのだ。まあ、どちらかといえば不真面目な性格ではあるがそれにしても異常だなと長年感じていた。もちろん問題意識はあるから試行錯誤はしてきた。まずは何らかの環境が悪いせいだと思い込んで、可能な限り環境を整える方向で実験を試みた。机の高さを自由に変えれるものにしたり、当然椅子もすばらしいものにして、とにかく働く環境は整えに整えた。悪くはない。むしろ改善はしたものの、根本的な「何か」は特に変わらなかった。次に自分自身を変える方向で考えた。もしかしたら何らかの栄養素が足りてないのではないかと考えいろんなサプリを試してみたり、ポモドーロテクニックとかスケジュール法を変えてみたり、なんだりかんだりやってみたけど、やっぱり根本の「何か」は変わらなかったのである。

「1日を思い通りのスケジュールで100%過ごす」

というだけの事ができないのである。どこかでつまずいてしまう。なんでだろうなあと思いながら1日が過ぎていき、我ながらなんて生産性が低いのだろうかと長年思っていた。とはいえ本能的なものなのかなんなのか「締切ブースト」だけはしっかり機能する。だから、本当にやばさを感じるときのみはリミッターが外れたように全力で取り組めるのである。リミッターが外れるから当然反動もあるが、なんとかそれで生きてきたようなものなのだ。

何とか改善したいなあと思い続けてきたが、どうもわからない。それであるときぼんやりそれについて考えていた時に思い出したのが「学生時代」のことだ。学生時代、授業は毎日休まず欠かさず過ごすことができたが(もちろん居眠りするときもあったけど)、テスト勉強はぎりぎりまでできないタイプだった。ぎりぎりになってリミッターが外れてようやくやるみたいなスタイルだったのである。まるで今と同じだ。つまり考えればわかることだが、昔から自分は「自発性」が非常に弱かったのである。自分が本当に興味があることは別にして、億劫だなあと思うことはひたすら後回しにすることが多かった。そうか、自発性が弱点なのか、ということに気づくのである。

それでだとすれば、強制力を追加すればもしかしたら解決するんじゃないの?と考え、事務所にフリーでやってる人を誘って一緒に働こうと提案をしてみた。たまたま使っていない机があるから、実験的に時間を決めてそこで作業をしてもらうようにお願いをした。その人も近い課題があったこともあり提案が通り、ほぼ同じ営業時間で作業をやることになった。さらに自分の課題を正直に伝えて、その人に朝一で今日のスケジュールを発表することを日課とした。たまに「ちゃんと進んでいるのか?」と言ってくれとのお願いも受け入れてくれて、たまに進捗確認もするようになった。ここまでくるともはやマネージャーと部下みたいなものである。

結果は…これが今のところ成功で、それまで嘘のように進まなかった作業がさくさく進むし、うようよ悩んでいたこともばりばりとは言わないまでも進むようになった。当たり前だが一緒に机を並べている人は「ただの隣人」だから強制力はないし、適当にスケジュールを知ってる程度で、たまにちゃかすように「まだ終わってないんかい」とか言ってくれるだけである。しかし、それで生産性は間違いなく上がったのた。今では味をしめて、もう1人似たような境遇の人を誘い作業をしている。

それまでずっと悩んでいた根本的な原因が「一人が苦手」だったとはちょっと恥ずかしいことではあるが、いやもうこれは事実だなと最近の変化を見ながら受け入れている。この事実に気づいた上での改革は今にはじまったことだから、今後さらに実験をしていけばより生産性は増すのではないかと思う。例えばそういう役割を持たせて、従業員を雇ったらより強力に制御されるのではないか…とか。近いところでコーチングを受けたらもっと改善されるのではないか、とか。いろいろ試してみたい。

さらに同じような悩みを持つ人はもっといるんじゃないのかなと思う。自分の問題に気づいてから他の人にもいろいろ話を聞くが、一人でも全然やれるって人もいるし、できないって人もいる。できない人はそれでも同じようにあれこれ試してやってるようだが、根本的な解決にはいたっていないようである。だから自分とかそういう人向けに「監視型コワーキングスペース」があったらいいんじゃなかなって考えるようになった。企画としてはまだまだ思い付きだけど、受付で目標を伝えて、それを終わるまで帰れない。作業はすべて監視されてさぼりだしたらすかさず注意してくれたり、もしくは応援してくれたりする。必要に応じてコーチングも受けられるし、なんならウェアラブルをつけてもらって精神状態も把握したりとか。おいおいこいつ眠くなってるぞってわかったら、ちょっとランニングマシンで走らされたり、逆に寝かしつけられたり。個人の生産性を数値化して向上するコワーキングスペースがあったらおもしろいんじゃないかなあ。実験的に自分で試してみようかな。

ThinkPad X1 Carbonを購入した

これまでthinkpadx220を使ってきた。もう7年くらいになるのだが、スペック的には今でも十分に使えるし、故障などもなくその堅牢性には頼りがいもあった。ただ、電池の持ちと筐体の重さに関してはかなりしんどさがあり、うんうん考えたが買い替えを決意したのだった。

それで携帯性を買い替えのポイントとして考慮しつつ、最新のノートパソコン事情も理解しつつ、選んだ結果、

(1)LG gram
(2)VAIO S11orS13
(3)HP Spectre x360
(4)lenovo ThinkPad X1 Carbon

↑こちらの4つの候補に絞られた。
Surfaceレッツノートも当然考えてはいたが、コスパを考えれば一段劣るし、レッツは軽いが厚みも気になった。

実機を触って一番驚いたのはLGのgramだ。13,3型は965gで27時間駆動、スペックもそこそこ。バッテリーサイズを小さくすればより軽く済むだろうが、そこをこのバランスにしてきた点は面白いし、そもそも27時間駆動ってなんだ。実測で半分だとしても凄まじい。それに対しバッテリーサイズを小さくして軽さを重視したのがVAIOのS11といったところか、840gはやはり軽い。

HPのx360は1290gと他のパソコンよりも重量はあるが、13.6mmという薄さがある。そして何よりコスパ面が魅力の機種でもある。4つ目のlenovoのX1はいいとこ取りのバランス型といったところだろうか。

どの機種もそれぞれ個性があり、これは迷った。

が、最終的には、

(1)LG gram
(2)lenovo ThinkPad X1 Carbon

の2つに絞った。
S11は軽さが魅力だがLGの重量でも十分耐えられるし、x360はコスパが魅力だがx1の価格でも予算内であるためx1を優先した。x360は実機を持つと薄いとはいえやはり他機種と比較して重いのもマイナスとなった。軽さの許容範囲内はx1の1130gまでのように感じられた。

gramかx1か。うんうん迷い、最後にもう一度実機を触って比較して決めようと考えた。

向かったのはヨドバシ仙台店だ。

前回のチェックでは重さや形にばかり気が向かっていたので、今回はキータッチを試してみようと考え、実際にメモ帳を開いてパシパシ打っていた。はじめに書いてしまうと、キータッチに関してはx1の方が圧倒的に好みではあった。が、最終的な判断はそこではなかった。

まず試したのはLGの方だった。パシパシ打っていると男性で細身の若い青白い顔をしたLG担当店員が近寄ってくる。(はっきりいって今、触ってる最中だから、黙って見ていてほしいのだが)というオーラを出していたがあえなく突き破られ、その店員はずかずかとお決まりのセールストークを始めた。「持ってみて下さい?軽いですよ」「電源の持ちがいいんですよ」といったわかりきった筐体の特徴を距離にして10cmそばから話しかけてくる。こちらも最初は穏便に対応していたが余りにもうるさい。しょうがないから正直に「x1と悩んでいる」というヒントも伝えて、どういう反応をするか見たところ、その店員はx1に関する知識はなく、gramのお決まりのセールストークを延々と繰り返すだけだった。おそらく、他社研究はおろか、担当のgramすらちゃんと触っていないのではないかと思う。とにかく「売らなければ売らなければ」「売りたい売りたい売りたい」という圧が強く、時間とともにこちらの気持ちはぐんぐんと下がっていく。終いにはスリープの挙動を見るために、一度パソコンを閉じて再度開いたところ、パスワードがかかってしまった。それを指差し「これを直していただきたい」と伝えたのだが、それに対しLG店員は「あっこれお買い上げっすか?この機種ですか?」と目を見開いてあわあわしだした。いや、パスワードですよと伝え直したところ、彼はその機種のパスワードを知らず、他の店員を呼びに行っていた…スリープを解除して再開するやいなやまだ営業トークを続けようとするから流石に呆れて「ゆっくり触って考えさせて欲しい」と伝え、一時は静かになったが、じっとりと張り付いてこちらを見ている。そして結局また話しかけてきた。相手のニーズも考えず自分の言いたいことだけをいって、これではLGというよりL自慰だ。これではダメだなと判断し、その場を離れlenovoのブースへ。

lenovoのブースでx1を触っているとlenovoの店員が近づいてきた。LGの件があったから、また同じ目にあったらどうしようかと思ったけど、その店員は「こちらがわかっている事をわかっている接客」をしてくれて非常に助かった。gramと悩んでいるという話もしたが「あれ駆動時間すごいですよね!」とちゃんとのってくれて、その上でゆっくり触って判断してくださいと言ってくれた。前述した通り、キータッチはx1の方が好みでこりゃこっちかなあ、しかしあの軽さと駆動時間も面白いよなあなどと考えながら、パチパチx1を打っていると、背後に気配を感じた。なんだと思ったら、またもやLG店員の登場である。ライバル会社のブースまで入るのか…と思いながら、スルーしていると、どうですか?と聞いてきた。「キータッチはx1ですね」と伝えると「そうかもしれませんが重さと軽さは~」とまた営業トークが始まった…店員の軽さと持続時間もgramのコンセプトに寄せたのだろうか…と呆れ果て、言うまでもなくこの時点でgramは落ちた。わざわざLGの店員は自分で落としたのである。

店員の質は「偶発的なこと」ではあるのでそこが判断に影響してしまった点はやや残念ではある。単純にそれぞれの持ち味で判断をしたかったのは正直なところではある。

LGとlenovoの対応が逆ならば本当にわからなかった。最終的な商品の魅力はx1に軍配が上がったが、x1は納品まで一ヶ月かかる(まだ手元に届いていない)。これは大きなハンデであるし、こちらのニーズも「できれば早め」だったため、その辺をうまくついていればgramになっていたかもしれない。

デザイン的な面で考えるならば機種のコンセプトを必死に考え、技術を詰め込み、広告宣伝物なども頑張って揃えたとしても「情報量が多い接客という行為」により覆る可能性があるという事である。そこまでをデザインしていく必要がある、ということを改めて身を持って体感をしたのだった。

地域の発展には「視点のバージョンアップ」が重要ではないかという話

観光について。

以前、阿蘇の人気定食屋の今村さんから話を聞く機会があった。阿蘇といえば幻想的な「雲海」が有名だが、広まったのはわりと最近のことであり、それまでは一部をのぞいて地元の人には見向きもされたなかったらしい。それが、外からきた人がその魅力を発信し、人を呼び込みだして、「えっそれで人来るの?」となったとの事。今村さん自身も最初は半信半疑だったんだけど、実際に雲海ツアーに行き、観光客が喜んでいる姿を見て、考えががらっと変わったとのこと。

今村さんのインタビュー記事
http://asoomoi.com/imakin

これはわかりやすい例なんだけど、観光に留まらず地域の発展には「視点のバージョンアップ」が不可欠ではないか、と最近考えている。前にも書いた気がするけど「何もしない、何も変わらない」は成長期ならまだしも地合いが悪い状況では相対的に下がるだけであり、持続性を考慮するのであればよりよくなるように変化するしかない。かといって、何もかもをがっつり変えることは現実的に難しいし、やれる事は限られている。だから"今あるもの"を「視点のバージョンアップ」で変化することが重要なのではないか、なんて事を考えている。

それで視点のバージョンアップは「これはこういうものだ」という発想を転換させたり、「新しいつなげ方」といった手法で見方を変えていくことになると思うんだけど、それってそれまでそれを常識だと思っていた人からすれば、受け入れづらい話ではある。特に「下げて見ている人」からすると、不可解ですらあると思う。「こんな何もないところに人が来るものか」といった感じで。この場合、そうした本質を隠す一生治らない瘡蓋をまずはべりべりと剥がして、傷口をじっくり見る所をやらなきゃいけないから、しんどい。しんどいから瘡蓋はますます「硬く」なる。

でも、視点のバージョンアップには寛容性がなければ進まない。あーそういうのもあるんだ、それ面白いな、といった受け入れがないと続かない。この"2人目"が重要って話は、デレク・シヴァーズの、

「社会運動はどうやって起こすか」
https://www.ted.com/…/derek_sivers_how_to_start…/transcript…

↑これを見るとよくわかる。
そうした点でいえば、人が多い都会だと、突飛なことをいっても「面白いじゃん」って同調する人が出て来やすくて、大きな動きにつながりやすいと思うが、人が少ない地方だと中々そうはいかない。

だから「そうはいかない」ってことを認識するところからはじめておおらかに変化を促す方法か、もしくは2人目は当面出ないけどとにかく自分を信じて実績を出す、の二通りになってくるのではないかなと思う。

どっちがいいかは場合によるだろうが、大抵の場合は後者で行くしかないだろうな。なんて事を考えた。