轟音事変

轟音は"ごうおん"と発音してください。

ThinkPad X1 Carbonを購入した

これまでthinkpadx220を使ってきた。もう7年くらいになるのだが、スペック的には今でも十分に使えるし、故障などもなくその堅牢性には頼りがいもあった。ただ、電池の持ちと筐体の重さに関してはかなりしんどさがあり、うんうん考えたが買い替えを決意したのだった。

それで携帯性を買い替えのポイントとして考慮しつつ、最新のノートパソコン事情も理解しつつ、選んだ結果、

(1)LG gram
(2)VAIO S11orS13
(3)HP Spectre x360
(4)lenovo ThinkPad X1 Carbon

↑こちらの4つの候補に絞られた。
Surfaceレッツノートも当然考えてはいたが、コスパを考えれば一段劣るし、レッツは軽いが厚みも気になった。

実機を触って一番驚いたのはLGのgramだ。13,3型は965gで27時間駆動、スペックもそこそこ。バッテリーサイズを小さくすればより軽く済むだろうが、そこをこのバランスにしてきた点は面白いし、そもそも27時間駆動ってなんだ。実測で半分だとしても凄まじい。それに対しバッテリーサイズを小さくして軽さを重視したのがVAIOのS11といったところか、840gはやはり軽い。

HPのx360は1290gと他のパソコンよりも重量はあるが、13.6mmという薄さがある。そして何よりコスパ面が魅力の機種でもある。4つ目のlenovoのX1はいいとこ取りのバランス型といったところだろうか。

どの機種もそれぞれ個性があり、これは迷った。

が、最終的には、

(1)LG gram
(2)lenovo ThinkPad X1 Carbon

の2つに絞った。
S11は軽さが魅力だがLGの重量でも十分耐えられるし、x360はコスパが魅力だがx1の価格でも予算内であるためx1を優先した。x360は実機を持つと薄いとはいえやはり他機種と比較して重いのもマイナスとなった。軽さの許容範囲内はx1の1130gまでのように感じられた。

gramかx1か。うんうん迷い、最後にもう一度実機を触って比較して決めようと考えた。

向かったのはヨドバシ仙台店だ。

前回のチェックでは重さや形にばかり気が向かっていたので、今回はキータッチを試してみようと考え、実際にメモ帳を開いてパシパシ打っていた。はじめに書いてしまうと、キータッチに関してはx1の方が圧倒的に好みではあった。が、最終的な判断はそこではなかった。

まず試したのはLGの方だった。パシパシ打っていると男性で細身の若い青白い顔をしたLG担当店員が近寄ってくる。(はっきりいって今、触ってる最中だから、黙って見ていてほしいのだが)というオーラを出していたがあえなく突き破られ、その店員はずかずかとお決まりのセールストークを始めた。「持ってみて下さい?軽いですよ」「電源の持ちがいいんですよ」といったわかりきった筐体の特徴を距離にして10cmそばから話しかけてくる。こちらも最初は穏便に対応していたが余りにもうるさい。しょうがないから正直に「x1と悩んでいる」というヒントも伝えて、どういう反応をするか見たところ、その店員はx1に関する知識はなく、gramのお決まりのセールストークを延々と繰り返すだけだった。おそらく、他社研究はおろか、担当のgramすらちゃんと触っていないのではないかと思う。とにかく「売らなければ売らなければ」「売りたい売りたい売りたい」という圧が強く、時間とともにこちらの気持ちはぐんぐんと下がっていく。終いにはスリープの挙動を見るために、一度パソコンを閉じて再度開いたところ、パスワードがかかってしまった。それを指差し「これを直していただきたい」と伝えたのだが、それに対しLG店員は「あっこれお買い上げっすか?この機種ですか?」と目を見開いてあわあわしだした。いや、パスワードですよと伝え直したところ、彼はその機種のパスワードを知らず、他の店員を呼びに行っていた…スリープを解除して再開するやいなやまだ営業トークを続けようとするから流石に呆れて「ゆっくり触って考えさせて欲しい」と伝え、一時は静かになったが、じっとりと張り付いてこちらを見ている。そして結局また話しかけてきた。相手のニーズも考えず自分の言いたいことだけをいって、これではLGというよりL自慰だ。これではダメだなと判断し、その場を離れlenovoのブースへ。

lenovoのブースでx1を触っているとlenovoの店員が近づいてきた。LGの件があったから、また同じ目にあったらどうしようかと思ったけど、その店員は「こちらがわかっている事をわかっている接客」をしてくれて非常に助かった。gramと悩んでいるという話もしたが「あれ駆動時間すごいですよね!」とちゃんとのってくれて、その上でゆっくり触って判断してくださいと言ってくれた。前述した通り、キータッチはx1の方が好みでこりゃこっちかなあ、しかしあの軽さと駆動時間も面白いよなあなどと考えながら、パチパチx1を打っていると、背後に気配を感じた。なんだと思ったら、またもやLG店員の登場である。ライバル会社のブースまで入るのか…と思いながら、スルーしていると、どうですか?と聞いてきた。「キータッチはx1ですね」と伝えると「そうかもしれませんが重さと軽さは~」とまた営業トークが始まった…店員の軽さと持続時間もgramのコンセプトに寄せたのだろうか…と呆れ果て、言うまでもなくこの時点でgramは落ちた。わざわざLGの店員は自分で落としたのである。

店員の質は「偶発的なこと」ではあるのでそこが判断に影響してしまった点はやや残念ではある。単純にそれぞれの持ち味で判断をしたかったのは正直なところではある。

LGとlenovoの対応が逆ならば本当にわからなかった。最終的な商品の魅力はx1に軍配が上がったが、x1は納品まで一ヶ月かかる(まだ手元に届いていない)。これは大きなハンデであるし、こちらのニーズも「できれば早め」だったため、その辺をうまくついていればgramになっていたかもしれない。

デザイン的な面で考えるならば機種のコンセプトを必死に考え、技術を詰め込み、広告宣伝物なども頑張って揃えたとしても「情報量が多い接客という行為」により覆る可能性があるという事である。そこまでをデザインしていく必要がある、ということを改めて身を持って体感をしたのだった。