轟音事変

轟音は"ごうおん"と発音してください。

花巻にいった

花巻にいった。花巻は過去に何度か足を運んだ場所であり、でありながらも、毎回魅力を感じる場所である。

まず、マルカンにいった。初手マルカンである。マルカンは地域デパートの役割を終え、閉店すれすれまでいったものの、大食堂でもせめて残そうよ!という掛け声のもと、(あの手この手で)存続にいたった稀な存在である。町おこしの文脈に携わったかたなら、一度は聞いたことがあるであろう、場所なのだ。現在は食堂フロアの他に、1階が物産コーナー、2階がおもちゃ美術館になっている。閉じたフロアも多いが、前よりも2階が開いた分、さらに前進している印象を受けた。

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大食堂は相変わらずの大盛況で老若男女問わず大賑わいであった。食券を求める長蛇の列ができているものの、席数はめちゃくちゃ多いので、意外にも着席まではスムーズ。着丼まではやや時間がかかるが、まー楽しいからいいのである。名物は長いソフトクリームで、流儀として「箸で食べよ」がある。次々に運ばれる巨大なソフトクリームは垂涎の的。見てると食べたくなるが大人なので気持ちを制御するのである。子どもにとってはいつまでも忘れられない思い出になるだろう。そうしてソフトクリームが次の世代をつなげていくのだ。

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花巻を含めて、岩手南部には「おちゃ餅」と呼ばれる団子が存在する。東北に長く住む自分も初めて聞くし、花巻に何度か訪れても今までは目に入らなかった。自分に和菓子属性がついたおかげで、気づいたものである。団子は生もので土産コーナーにも並ばない。つまり、一般的なお土産ラインにはのってこない、ローカルフードなのである。花巻では照井菓子店で食べることができる。くるみ醤油であまじょっぱい。イメージとしては味噌おにぎりのような味わいで、お菓子というより食事に近いイメージを持った。岩手の人はこれでお茶を飲むのかーなどと想像していたが、名称に関しては団扇餅がなまっておちゃ餅になったとのこと…。おちゃ関係ねぇ。炭水化物と良質な脂質も取れることからバルクアップには最適で、花巻東から巣立った大谷翔平君や菊池雄星君もこれを食べたのだろうかと思いを馳せる。

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今回の目的地はその花巻東高校のすぐそばにある「るんびにい美術館」だ。ろうの写真家、斎藤陽道氏の展示を見に来たのだった。るんびにい美術館は展示スペースとカフェスペースで構成された小さな美術館だ。斎藤氏の写真は見ていると不思議な気持ちになる。何かが違う感じがするのは、おそらくだが、音がない写真だからではないかと思う。写真だから音はないのだが、写真から音がないことが伝わってくるのである。静かな写真とも違う、「見る没入感」を感じられる写真で見ることができよかった。カフェスペースでゆっくりお茶。この美術館は福祉法人が運営しており、福祉視点から見ても面白い事例ではないかと思う。今回はそこまで掘らなかったが、またいく機会があればその辺も聞いてみたい。

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その後、定番の「大沢温泉」による。大沢温泉大沢温泉で一本記事が書けそうな(文字通り)込み入った温泉宿である。もうこの記事は十分長いので今回は割愛。帰りに「ポパイ」に寄って帰路へ。大変よかった。

花巻は何度も通っているが、豊富なコンテンツが魅力的な場だ。宮沢賢治もいるし、マルカンはあるし、美術館もあれば、温泉もある。さらには花巻東高校もある。住んでいてシビックプライドが養われそうな場所だと感じた。心配なのは雪くらいなもので、住むにも良さそうなエリアだなと思う。

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マルカンでみつけたローカルパン。筋肥大しそう。