轟音事変

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コロナ禍、神戸の繁華街で見た光景

2021年の3月下旬、所要で神戸を訪れる機会があった。

その頃の神戸は2度目の緊急事態宣言の効果で下降した感染者数が、明らかに増加に転じた時期にあたる。結果的には4月はさらに感染数が増えたため、増加の助走期間だったともいえる。

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コロナ禍以降では仙台市以外への都市部へ初めて訪れたこともあり、そもそもの当たり前の人の多さに驚く。三ノ宮の駅前から宿まで歩いたが、賑わいがあり、コロナ禍とは思えないような雰囲気があった。しかし、東京も含めて都市部ではそれ自体は当たり前な光景ではあるのだろう。

時短要請が出されていた影響か、路上で騒ぐ人たちも多い。宿の周囲を少し散歩する。繁華街は時短要請に従い、おそらく普段と比べるととても静かで、人もまばら。ちょっと細い道などは少し怖さがあるほど。見知らぬ土地で静かな繁華街はほとんどファンタジーのような感覚だ。お店はほとんどは閉まっている。

が、一部のお店は要請に従わず営業を続けているお店もあった。見たところ、開店しているお店は2種類あり、1つは静かに営業するタイプ、もう一つは元気に営業するタイプだ。静かなお店は一見するとわからないが、どうやらやってそうな雰囲気がある程度であり、とても静かに見えた。

衝撃だったのは元気なタイプで、おそらくはいつも通りなのだろう。ギラギラと照明を効かせている。外に並びがいるほど盛況で、店内は超満席。この空間だけ異次元。コロナがなかったことになっている。他のお店がほぼ閉まっている状況だったため、異様さが際立っている。まさにニュースなどで聞いたような状況を自分の目で確認することになり、非常に衝撃を受けた。

経営上の判断で、店が営業を続ける気持ちも理解はできる。しかし、あれだけギラギラした状況を見せつけられれば、心情として要請に従わない場合に飲食店側にペナルティを出すという議論が出てくるのも無理はないとは感じた。それだけ異次元な光景だったのである。

その様子を確認したことにより、この後神戸で感染が増えたとしても何の不思議はないとは思っていた。根絶される要素がないからだ。結果的には案の定、感染が増加し、現在は三度目の緊急事態宣言発令中である。

そのお店が悪いというわけではない。お店・個人の認識、改善点はある。しかし、そのような状況を生み出した構造に最たる問題がある。一方では、島という特性を活かしたニュージーランドや台湾の事例がある。ニュージーランドはつい先日5万人規模のイベントを実施した。

なぜその違いが出たのか。結果論ではあるが、こうなる前により改善できる方法はあったのではないかと思う。矛盾を感じるのは一方で五輪を開催する意志が強いことだ。だとすれば、なおさらのこと文句の言われようのない対策を優先するはずだとは思うが、そうではないように見える。決断は誰がするのか。何が問題の根本なのか。考えていく必要がある。