轟音事変

轟音は"ごうおん"と発音してください。

「卒業します」の違和感

前回は「新入社員へ向けて」みたいな文章を書いたが、流れを無視して今回は卒業について書いていきたい。

気になっているのは退職を卒業と表現することだ。「3年働いた〇〇を今月で卒業します!」といった類のものである。3月は転職なども含めて移動が多い季節ということもあり、特にこの表現を見ることが多かった。

卒業とは辞書を引けば"学校の全課程を学び終えること"と書かれている通り、そもそも学校に対して当てはまる表現だといえる。そのため、卒業するという話を聞くと「おいおい学校だと思っていたのか…」と残念な気持ちになるのである。

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↑こちらの記事によれば卒業という表現を広めたのはリクルートだという。リクルートは記事の通り、起業家育成機関の性質を持ち合わせているため、違和感はそれほどない。また、リクルートは"個の尊重"という価値観があり目的として存在する。しかし、一般的な企業で何をどう卒業するのか。

組織は目的を達成するための手段として存在する。組織が存続するということはそこには目的がある。目的がある以上は組織に所属する人間に役割がある。本来は役割がある中で、組織から離脱する。それを卒業といえるのだろうか。中退では?とまでは言わないが、卒業に違和感があることに間違いはない。

確かに退職という単語、字面、発声した際に重みも感じる。ただでさえ、重みを感じるのだからなるべく使いたくないということもあるかもしれない。であれば、区切りといった表現でも良いのではないか。卒業しますではなく、区切りをつけますでもよいのではないか。

細かいツッコミかもしれないが、卒業という表現は使いやすいため今後もますます広がることが予想される。しかし、重要な局面で使用する言葉であるからこそ、慎重に自分の状況に合致しているのかどうか、確認した上で使った方が良いのではないか。