轟音事変

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スモールな起業における実現力と経理問題

小規模な起業の場合、起業家は総合格闘家のような立ち位置が求められる。従業員が一人でもいればまだしも、自分しかいない場合は攻めも守りもすべてを一人で行わなければならない。

はじめることは簡単だ。例えば古本屋で本を安く買い、利益を上乗せした金額で誰かに売ればそれはもう立派な「売上」だといえる。対したアイデアを持たなくても、商売は誰にでも簡単にはじめられるものなのだ。個人事業主にしろ、法人だとしても設立の手続き自体はそこまで難しいことでもない。

ただ、その事業を継続していく場合は難易度が異なる。事業そのものに課題が発生する他に、経理や人を雇えば労務面といった必要な手続きが次から次へと出てくるからだ。一つ一つは大した問題ではないのだが、次から次へと連続的に発生する点が非常にやっかいなのである。そうした事業を継続するために必要な手続きを、知らなかった起業家はもちろん、勉強して理解をしている起業家ですら、本業で疲弊していると手が回らなくなっていく。もちろん、最初から織り込み済みで計画を立てているような人もいるだろうが、はじめて起業するような人はこの壁にぶち当たるのではないかと思う。

かく言う私もその一人。今でこそ多少は慣れたものの当初は行政から送られてくる分厚い封筒に悪戦苦闘していた。起業は簡単に始められるが、その際に行政側からレクチャーなどはない。よくわからず放置をしているとペナルティが発生するという恐ろしい仕様になっているため、自前で理解し準備し手続きを行わなければならない構造になっている。

往々にして起業当初はとにかくやることも多く、整理もついていない状況。キャッシュも回す必要もあるから、少し落ち着いてから取り組もうなどと言っているうちに半年が過ぎるのだ。そしてたまった書類を目を通し、そっとまた閉じ、混乱はさらに増すのである。これは推測だが、設立こそ行政書士に依頼してはじめたものの、その後キャッシュが回らず、すべての書類を放置し、そのまま倒産(というかその処理もしてない)のようなケースもままあるのではないかと思う。

だから、起業を志すなら前もって手続き面も織り込んで準備すればいいと思うし、可能なら簿記3級でも取得すれば経理面の理解が捗るからおすすめではある。一方で「わいはやったるでー!」のような事業ぶん回したい野郎の場合は、「おう!やったれ!やったれ!」が最善なのかなとも思う。後から大変になる可能性はあるものの、とにかく事業回してキャッシュ確保すれば選択肢(士業に依頼するとか)が増えることも事実ではあるから、その場合は実現力優先でもいいのかもしれない。

というわけで、今日は起業における経理問題について書いてみた。小さな規模の起業にはあるあるだと思うので、今後事業をやる予定がいる人の参考になれば幸い。