轟音事変

轟音は"ごうおん"と発音してください。

「狂気の男」合戸孝二がクロワッサンで痩せる理由

ボディビル界の生きる伝説「合戸孝二」選手が話題になっていた。
同じく、トップビルダーの木澤大祐(ジュラシック木澤)選手との対談動画にて、減量中は「クロワッサンを食べる」と発言したからだ。

www.youtube.com

↑冒頭からその話題に入るのでぜひ見て欲しい。

合戸選手といえば「狂気の男」と呼ばれるほど、理屈を超えた超ハードな方法で体を鍛え上げる凄まじい方。超絶トレーニングを続け、60歳になった現在でも日本を代表するトップビルダーを継続している、鉄人的な人物である。

そんな合戸選手だが、減量理論も独特で「軽い食べ物は軽いから(体重が)のらない」と発言している。サンドウィッチマン伊達さんの0kcal理論を彷彿とする内容だ。

実際はそのようなことはなく、クロワッサンは水分が少ないから軽いだけであり、同じ重さの白米と比較すれば水分差で白米の方がカロリーが低くなる。極端な話、水100gとクロワッサン30g、どちらがカロリーが多いか考えれば答えはすぐに出る。重さが軽い=カロリーが少ない、ではないのである。

それでも合戸さんの体を見れば「だってあの体をしている合戸さんが言っているんだぞ!」となる人もいるかもしれない。だが、合戸さんの1日の食事内容を確認すれば、痩せる要因は見えてくる。

同じ動画内で減量中の食事内容について説明しているが、

朝食:サプリ中心、クレアチンにオレンジジュースを200ml入れる
昼食:ジャム付きクロワッサン3個(4個になったり、食パンになるパターンもある)
夕食:サプリ中心
+合間にBCAAやプロテインといったサプリ

となっている。糖質はクロワッサン以外はオレンジジュースのみ。夕食は減量食であるササミなども食べるがほとんど食べずサプリ中心とのこと。この動画の前の動画でサプリの量にも言及しており、朝のサプリはプロテインを5~60g程度と発言している。この発言を参考にすると以下のような栄養バランスが推測できる。

◆合戸選手の減量時の栄養バランス
朝食  :P=54g、F=1g、C=23g
昼食  :P=10g、F=30g、C=92g
夕食  :P=50g、F=5g、C=0g
-----------------------------------------------
合計  :P=114g、F=36g、C=115g
カロリー:(114×4)+(36×9)+(115×4)=1240kcal

となる。
昼食はジャム付のクロワッサン3個で計算、夕食はササミやマグロも食べるとのことで若干脂質を足した。プロテインはKentaiのプラチナで計算。カロリーはカロリースリムを参照にした。

合間のサプリはPが100g追加されたと考えても、合算1640kcal程度に収まる。合戸さんなら1日の消費カロリーは最低でも2000kcalは超えるはずなので、400は浮く。凄まじいトレーニングボリュームなのでそれ以上消費しているのは間違いないが、最低で考えても月2キロペースで落ちていく計算にはなる。

というわけで、クロワッサンを食べて減量と聞けば驚くが、全体のボリュームを考慮すれば納得がいく内容になっている。まさに「量さえ間違えなければ痩せる」を体現した方法ではあるのだが、チョイスにインパクトがあり面白い。

木澤さんと合戸さんの対談動画は他もすべて面白いので興味がある方にはお薦めしたい。

無知を知る

1日を安定化させるためにリズムを刻むスケジュールを組み立てた結果、副産物のような形で読書習慣を得ることができた。それまでは本は好きだが、読むスピードは遅いため定着は難しいと感じていた。しかし、スケジュールに入れ込み、読み方を学ぶことで、習慣化することに成功した。

ジャンルは自己啓発や経営に関するものが多い。例えば最近ではザ・ゴール、イシューからはじめよ、影響力の武器、7つの習慣ライフシフト、ワークシフト、ドラッカーのマネジメントなどである。最初は何を読むべきかわからず、興味のある分野の中から名著と呼ばれるものを読み漁る方針を取った。

読書をする際、大事にしているのは要点だ。「要点は何か」を常に意識しながら読み、ドッグイアやラインを引き、最後に印をつけた箇所をnotionでまとめるところまでを一式にする。ただ読むだけではなく探しながら読むことで効率化したように思う。

様々な本を読むことで一つわかったことがある。それは自分が自分の興味がある分野ですらもまったく理解が進んでいなかったことだ。すなわち、無知であることを知ったのである。

例えばドラッカーのマネジメント。マネジメントに関する原理原則が書かれており、自分がこれまでぼんやりと見ていたものが理路整然とまとめられており、衝撃を受けた。ドラッカーのマネジメントに関しては一部のみラインを引くどころの話ではなく、すべてを何十回も読まねばならない内容だ。今は毎晩寝る前に読むようにしている。ドラッカーでいえば非営利組織の経営も30年前の本とは思えない示唆的な内容で衝撃的だ。非営利組織関係者は全員が一読すべき本だといえる。

このような本は何も新しい特別なものではなく、基本的なことだ。知っている人からすれば「何をいまさら」な内容だとは思う。しかし、それまで読書習慣がなく目にしたことがなかった人間からするとまさに衝撃的な体験なのである。

かといって学生時代にこうした本を読む気があったのかといえばなかった。機会はあった。しかし読まなかった。経験を積んで蓄積された尺度があるからこそ実感が湧く読み方ができるようになったとはいえる。求めるものがあるからこそ読み進めることができる。そして結果的に自分が無知であることを理解することができた。

振り返れば残念な気持ちはある。もっと早く知ることができればよかったと思わずにはいられない。しかし、ここで気づいたことが前進になると捉えてしばらくは積極的に読書を進めていきたい。

フルグラを朝食に食べてもいいのか

フルグラ(フルーツグラノーラ)を巡り、最近話題になったまとめがあった。

togetter.com

該当ツイートは非公開扱いになっているが、どこかのトレーナーが「フルグラは悪だから食べるな」という主旨のツイートをしたところちょっとした炎上になったようだ。

ダイエットを目的とした食事制限は条件により、大きく異なるが方向性はある程度決まっている。

まず重要な指標としてカロリーがある。カロリーとは体を動かすガソリンのようなもので、私たちは何もせずとも日々消費し、食事を通し摂取している。消費カロリーよりも摂取カロリーを抑えることができれば体重は減少傾向に働き、消費カロリーよりも摂取カロリーが増えれば体重は増加傾向に働く。これは体の原則的な機能であり、つまり、何をどう食べようが、カロリーさえ抑えておけば体重は減少傾向に働くため、例え3食フルグラだろうが量さえ間違いなければ痩せることは可能。とにかく体重を落としたいということであればカロリー制限だけで十分なのだ。

ここに例えば「メリハリのある身体にしたい」といった要求や、「筋肉をつけてコンテストに出たい」といった要望を自身に課すのであれば内容は変わってくる。その場合は体組成の中でも脂肪を減少させ、筋肉を増加または維持を狙う必要があるため、その目的に沿った栄養バランスが必要になる。最初から三大栄養素のバランス、つまりPFCバランスを意識することも重要だが、誰もがこの領域を目指すべきではない。

「なんとなく痩せたい」ならば難しいことを考えずにカロリー(食べる量)だけ考えればよく、「メリハリをつけたい」ならカロリーだけでなく栄養素や運動のことを考えればよいのである。ある程度、身体作りの経験がある人間ならばバランスの重要性を理解しているからこそ伝えたい気持ちはわかるが、特に前者のモチベーションを持つものに対しては逆効果になる場合もあるため、注意が必要だ。

フルグラだろうが、例えばスナック菓子だろうが、ダイエットで食べてダメなものはない。すべては量が問題であり、カロリーだけを気にすればよい。ただしダイエットの目的がより上を目指すならば、その目的に沿った方法を取る方がよいということになる。

最後にマッチョが信頼するマッチョである久野圭一氏も同じような内容をツイートしていたので紹介しておく。久野氏は真っ当な発言をするマッチョで有名なため、ボディメイクに関心がある人はフォロー推奨。

 

 

 

 

 

 

アグリー・デリシャスが面白い

最近は、隙あらばNetflixでグルメ番組をせっせと見ている。

「ストリート・グルメを求めて」は、その名の通り各国のストリートグルメを掘り下げて紹介している。破天荒な店主が多く、各国の個人店ならではの強烈な個性を感じる。日本では大阪京橋の立ち飲み屋「居酒屋とよ」が紹介されていた。コロナ禍が収まったらぜひ行ってみたい。

www.netflix.com

「タコスのすべて」はタコスだけで2シーズン(13話)語り尽くす番組だ。あらゆる種類のタコスが登場する。おそらく日本の感覚としては九州ならとんこつ、北海道は味噌のように地域性があるラーメンに近いと思う。メキシコの中でも、この地域ならこのタコス、このタコスならこの地域だ、のような違いが描かれており、タコスの解像度がどんどん上がる。魚のタコスの回では、どうやら日本の天ぷらから着想を得ているようだといった描写もある。とにかくタコスが食べたくなる番組で、その影響から先日業務スーパーでトルティーヤを買い、タコスを作り、美味しく食べ、そしてまた業務スーパーに行き、冷凍庫にトルティーヤ・戸棚にはサルサソースの在庫がある状態を保っている。

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そして一押しは「アグリーデリシャス」だ。韓国系アメリカ人で有名シェフのデイビッドチャン(通称デイブ)がさまざまな料理と料理に伴う文化を紹介する番組になっている。そもそもデイブが何でも美味しそうに食べるのでまずグルメ番組として魅力的。そしてそれ以上にその料理が持つ背景、文化を多角的に捉えていく構成も興味深い。例えばフライドチキンなら背景に黒人差別の歴史があり、その面を紹介しつつ、一方で白人がその文化を尊重しながら店を開く様子も紹介する。全体を通して、対立軸を描きながらも融和的な視点を持ち、料理で国境や人種の壁を超える試みを表現している。デイブをはじめ出演者がみんな素直に意見を言い合う点もとてもよい。

www.netflix.com

いずれの番組でも共通していえることだが、映像としてのクオリティも非常に高い。膨大な取材内容や演出をコンパクトに見せていくテンポの良さがあり、グイグイ引き込まれて飽きずに見ることができる。

他にも沢山のグルメ番組がまだまだ残っており、せっせと見続ける日々が続く。

コロナ禍、神戸の繁華街で見た光景

2021年の3月下旬、所要で神戸を訪れる機会があった。

その頃の神戸は2度目の緊急事態宣言の効果で下降した感染者数が、明らかに増加に転じた時期にあたる。結果的には4月はさらに感染数が増えたため、増加の助走期間だったともいえる。

www3.nhk.or.jp

コロナ禍以降では仙台市以外への都市部へ初めて訪れたこともあり、そもそもの当たり前の人の多さに驚く。三ノ宮の駅前から宿まで歩いたが、賑わいがあり、コロナ禍とは思えないような雰囲気があった。しかし、東京も含めて都市部ではそれ自体は当たり前な光景ではあるのだろう。

時短要請が出されていた影響か、路上で騒ぐ人たちも多い。宿の周囲を少し散歩する。繁華街は時短要請に従い、おそらく普段と比べるととても静かで、人もまばら。ちょっと細い道などは少し怖さがあるほど。見知らぬ土地で静かな繁華街はほとんどファンタジーのような感覚だ。お店はほとんどは閉まっている。

が、一部のお店は要請に従わず営業を続けているお店もあった。見たところ、開店しているお店は2種類あり、1つは静かに営業するタイプ、もう一つは元気に営業するタイプだ。静かなお店は一見するとわからないが、どうやらやってそうな雰囲気がある程度であり、とても静かに見えた。

衝撃だったのは元気なタイプで、おそらくはいつも通りなのだろう。ギラギラと照明を効かせている。外に並びがいるほど盛況で、店内は超満席。この空間だけ異次元。コロナがなかったことになっている。他のお店がほぼ閉まっている状況だったため、異様さが際立っている。まさにニュースなどで聞いたような状況を自分の目で確認することになり、非常に衝撃を受けた。

経営上の判断で、店が営業を続ける気持ちも理解はできる。しかし、あれだけギラギラした状況を見せつけられれば、心情として要請に従わない場合に飲食店側にペナルティを出すという議論が出てくるのも無理はないとは感じた。それだけ異次元な光景だったのである。

その様子を確認したことにより、この後神戸で感染が増えたとしても何の不思議はないとは思っていた。根絶される要素がないからだ。結果的には案の定、感染が増加し、現在は三度目の緊急事態宣言発令中である。

そのお店が悪いというわけではない。お店・個人の認識、改善点はある。しかし、そのような状況を生み出した構造に最たる問題がある。一方では、島という特性を活かしたニュージーランドや台湾の事例がある。ニュージーランドはつい先日5万人規模のイベントを実施した。

なぜその違いが出たのか。結果論ではあるが、こうなる前により改善できる方法はあったのではないかと思う。矛盾を感じるのは一方で五輪を開催する意志が強いことだ。だとすれば、なおさらのこと文句の言われようのない対策を優先するはずだとは思うが、そうではないように見える。決断は誰がするのか。何が問題の根本なのか。考えていく必要がある。

「情報の雨」から身を守る

最近、意識していることが「情報の雨」をなるべく浴びないようにすることだ。
情報の雨とは、大別すればありとあらゆる宣伝広告(テレビのCM、WEB広告などすべて)、ネットサーフィン、テレビ、SNS、他人の話といった情報のことだ。

ある本に宣伝は1日5000回程度目にするとかかれていた。海外の本のため一概に比較はできないものの、道路沿いで目にする看板なども含めれば達成しても不思議ではない数値だ。試しに自分が通勤で走る道路を想像すると「あそこにはあの宣伝看板がある」と認識している。つまりそれは(多くの場合不要な)広告が頭に刷り込まれているということであり、貴重なリソースが削られているということでもある。

情報の質について聞いたことや考えたことはあった。それでも主体的に避けようと考えたことはなかった。転機となったのは、読書の習慣だ。読書を通して、自分にとって良質で有益な情報がすでに山のように存在していることに気づいたのだ。

イメージで語れば、雑な情報は雨のようなものでざーざー降っており、あたっては流れていき、時として有害な成分も含む。一方で良質な情報は自分で汲む飲み水だ。もちろん水質は重要な要素だが、それを判断する能力も自分で水を汲みにいくことで得られるものだ。だから、水を汲む行為を重ねる事も重要になる。

時間は有限であり、1日で処理ができる情報量は限りがある。だからなるべく雨にあたらないように注意をしながら、水を汲むことが求められるのだ。

雨を避けるには避けることを意識することが重要だ。ネットが悪い、広告が悪いという話ではない。その情報が自分にとって本当に必要なのかどうかをまずは判断しなければならない。必要な情報は人によって異なる。例えばアイドルが好きな人なら該当するアイドルの情報は何が何でも抑えておきたいだろうし、スポーツが好きなら同じように必要になるだろう。ここで一つ言えることは何にこだわるかが重要だということだ。絶対に外せないものにフォーカスし、そこから順位が下がる情報をなるべく切り捨てる行動が求められる。

具体的な方法は対象によって異なるが、例えばネットならアドブロックを導入したり、無料コンテンツを有料に切り替えることで劇的な広告削減効果がある。コントロールできる範囲では簡単に処置ができるため、こうした方法はおすすめだ。

また、本を読むという行為に対しては、時として、興味はあっても内容が難しいものを読むことができない場合もある。疲労があったり、集中力が欠けているような時だ。また自分の場合は1冊を長時間読むと比例して、読書スピードが落ちるという性質もある。1冊に割けるのは精々30分程度。だから、その時の状況に応じて読めるように、最近は常に5冊以上の本を持ち歩くようにしている。例えば疲労を感じた時などに、ふとスマホを開きそうになるが、その時ように読む本を入れておくのである。こうした方法を模索しながらも、なるべく汲んだ水を摂取するようにしている。

最後に1つ印象に残ったエピソードを紹介したい。友人に哲学者がいる。読書量があり、常に研究分野の文献を持ち歩いている。その友人とビル・ゲイツの話になったのだが、その友人はビル・ゲイツを知らなかった。曰く「生きている人は覚えるのが苦手」とのことで、非常に驚いた記憶がある。これは極端な例だが、ここまで集中できるからこそ、その道に進むことができたのだと感服した思いがある。

その友人とまではいかないにしろ、こだわりを持ち、自分にとって必要な情報を摂取していきたい。

「卒業します」の違和感

前回は「新入社員へ向けて」みたいな文章を書いたが、流れを無視して今回は卒業について書いていきたい。

気になっているのは退職を卒業と表現することだ。「3年働いた〇〇を今月で卒業します!」といった類のものである。3月は転職なども含めて移動が多い季節ということもあり、特にこの表現を見ることが多かった。

卒業とは辞書を引けば"学校の全課程を学び終えること"と書かれている通り、そもそも学校に対して当てはまる表現だといえる。そのため、卒業するという話を聞くと「おいおい学校だと思っていたのか…」と残念な気持ちになるのである。

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↑こちらの記事によれば卒業という表現を広めたのはリクルートだという。リクルートは記事の通り、起業家育成機関の性質を持ち合わせているため、違和感はそれほどない。また、リクルートは"個の尊重"という価値観があり目的として存在する。しかし、一般的な企業で何をどう卒業するのか。

組織は目的を達成するための手段として存在する。組織が存続するということはそこには目的がある。目的がある以上は組織に所属する人間に役割がある。本来は役割がある中で、組織から離脱する。それを卒業といえるのだろうか。中退では?とまでは言わないが、卒業に違和感があることに間違いはない。

確かに退職という単語、字面、発声した際に重みも感じる。ただでさえ、重みを感じるのだからなるべく使いたくないということもあるかもしれない。であれば、区切りといった表現でも良いのではないか。卒業しますではなく、区切りをつけますでもよいのではないか。

細かいツッコミかもしれないが、卒業という表現は使いやすいため今後もますます広がることが予想される。しかし、重要な局面で使用する言葉であるからこそ、慎重に自分の状況に合致しているのかどうか、確認した上で使った方が良いのではないか。