轟音事変

轟音は"ごうおん"と発音してください。

ケトジェニックダイエットをやってみた

相変わらず、ダイエットをしている。
終わりがあるのだろうかと思う時もあったが、今は「目標達成のその後」を考える程度には終わりが近付きつつある。

2018年9月「98キロ」まで達成した私は(またやっちまった…)という思いとともに、人生で幾度目かの減量生活がはじまった。詳しい減量記はまた機会を作って書きたいと思うが、まずはゆるい運動と、ゆるいカロリー制限を半年ほど続けて、結果的には20キロ近く痩せた。そこそこ痩せると体は「おいおい体重ちょっと減らしすぎなんじゃないの?」となり、省エネモードが発動して肉を溜め込もうとする「停滞期」に入る。

それでも地道にカロリーを抑えていれば再度体重は減り始めるのだが、今回はせっかくなので「ケトジェニックダイエット」にチャレンジすることにした。数年前から特に筋肉系youtuberや山本義徳氏の影響でトレーニー界隈には広く知られ、最近ではメディアでも取り上げられることもあり、聞いたことがある人も増えたのではないかと思う。

そもそもケトジェニックとはなんぞや?という方は、公開されている山本祐司氏の論文が細かくその仕組みを論じているため、こちらを読んでみるとよい。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/9/54_650/_pdf

わかりやすく書けば「糖質を枯渇させ、その代替エネルギーを脂肪で補う方法」になる。通常人は摂取される糖質(米とか砂糖とか)を動力源に活用しているがそこを遮断し、体内にストックされた脂肪をメインエネルギーに変換するのだ。例えればレギュラーガソリンから軽油に切り替えるようなものである。脂肪をエネルギーに変換されると「ケトン体」というエネルギー源が生成される特徴があるため、ケトン体生成を意味する「ケトジェニック」という言葉がつけられている(と解釈している)。
脂肪をメインエネルギーに変換するから脂肪がガンガン減るよ!という話になりそうだし、実際にそのように説明している情報サイトも多いのだが、論文にも書かれている通り「ダイエット効果はあるもののメカニズムについてはいまだ詳細に解明されていない」代物であるため、その点は注意が必要だ。
詳細な解明はされていないけれど、確かに脂肪燃焼効果はあるっぽいね!ということで取り入れている人が増えているのが現状だ。

では、物は試しと今回実践してみたのである。

◆食生活
大きな特徴は食生活だ。ケトの場合、その性質から糖質を著しく削る必要がある。1日「20g~50g」と言われているが、理論上少なければ少ないほうがよいため目標値は「20g」とした。参考までにおにぎり1個の糖質量が「40g~50g」程度。おにぎり1個も食べられないのは当然として、調味料まで気を配らないと「20g」は達成はできない。また、筋肉量を減らさないためにタンパク質もしっかり取り、そして残りのカロリーを脂質で賄うのである。

つまり食べられる食材は、肉(ベーコンとか加工品含む)、魚、卵、葉物野菜、チーズといった食材になる。野菜は糖質が入っていないイメージを持たれるが特に根菜はそこそこ糖質があるためNGになる。

期間中は「肉(魚)+葉物野菜の炒め物」あたりを中心に食べていた。また脂質はしっかり摂取する必要があるため、消化吸収分解が速くエネルギー変換がしやすい中鎖脂肪酸である「MCTオイル」を中心にドバドバ摂取。肉も普通のダイエットなら避けるはずの、豚バラとか牛カルビとか油ものを選んで摂取した。酒も糖質を含まない蒸留酒である、ウイスキーや焼酎はOK。

油を摂取してもいいため、この食生活は新鮮だった。がつがつ肉を食い、油を摂取する。卵を大量に使った料理に、間食はチーズとサラミ。通常のダイエットではタブーな行為がこの方法では有効な手段になる。もともと胃が強いため脂っこい食生活でも問題はない。ただし外食は選択肢が限られており、焼肉か焼き鳥、もしくは糖質がきちんと情報公開されているファミレスあたりになる。糖質量が増え、インスリンが分泌された場合、摂取していた大量の脂質がそのまま脂肪行きになるし、一度ケトーシス(ケトン体がでている状態)から抜けると、再度ケトーシスに入るまで時間がかかるので細心の注意が必要だ。

◆運動能力
一般的には糖質を断ち切るため運動能力は下がると言われている。が、これに関しては人それぞれ実感が異なるようで、自分の場合は「少し落ちた」だった。具体的には最後の粘りが効かず、レップ数が1~3回程度落ちた。ケトが終わり糖質を摂取したあとのジムでは粘りが効き、重量も上がったことから、確信に変わった。

◆体調
糖質がきれて、ふらふらしたりイライラしたりといったことは自分の場合ほとんどなかった。過去にも長期間にわたる極端なカロリー制限ダイエットも経験しており、こうした環境には適性があるようだ。

◆ケトスティック
ケトスティックと呼ばれる試験紙がある。毎朝このケトスティックでケトーシス状態をチェックをした。思ってもいなかった日にケトン値が低い日もあり「もしかしてあれのせいか!」と振り返りができるので、ケトジェニックダイエットをする人は必須だと思う。

◆周囲の反応
とにかく肉を食うし、油を摂取する。チーズやサラミも食べまくるため、まわりの人からは「それがダイエットなの?」といった反応が多かった。それで説明をする機会はたびたびあったのだが、「糖質=20g」がうまく想像できる人が少なく「肉食べていいんだね!」みたいな妙に勘違いされてしまうことは多かった。説明はしづらいダイエットではあるなあとは感じた。

◆結果
ケトジェニックはその特徴から短期型だと捉えているため、今回は「37日間」の実践となった。が、体組成計で測ったのが開始から一週間後だったため以下の数字は「30日間」の数値である。

・体重
79.4kg→76.6kg(-3.7kg)

・体脂肪
18.3%→16.3%(-3.0%)

・脂肪量
15.0kg→12.5kg(-2.5kg)

・筋肉量
61.1kg→60.8kg(-0.3g)

という結果になった。
めっちゃ痩せた!という結果にはならなかったものの、前の一か月と比較すれば下げ幅は拡大しているため一応効果はあった?のかな?という感覚ではある。特に脂肪量の減少に比べて筋肉量の減少は最小限に食い止められたという意味では悪くない結果なのではないかなと思っている。

◆反省点
途中まで「カロリーは気にせず食べる」を実践していた結果、ほとんど体重の変動が起きなかったが、摂取カロリーを厳格にしてからは一気にぐっと下がった。よくケトジェニックは「カロリー制限は必要ない」と言われるが、厳格にした方が結果が出やすいと思う(そりゃそうだって話だけど)。というか自分の胃が強いから単に食べまくれちゃうのが原因なんだよな…

◆まとめ
というわけでケトジェニックが終了した。

結果としては「まあ、こんなもんか」といった感覚ではあるが、いわゆるダイエットでタブーとされている食材をガンガン食いまくれるのは体験として面白い。その特徴から「まあいいか」が許されない点も面白く、強制力があるため逆に意識が低い人の方が向いていたりするんじゃないか?とは思った。ただやはり強制力は強いため、環境がそろってないと難しいのではないかと思う。例えば接待での飲み会とか、冠婚葬祭とか、そうした事情に対応がしづらいため、実践するためには、レギュラーな日々が続く期間が必要になる。自分の場合は飲み会があってもうまいことごまかしたり、冠婚葬祭のような強制イベントは入らなかったのでよかった。さらに自分の場合は事務所にキッチンがあり、そして近所に道の駅的な場所があるため、ちゃっと買ってちゃっと美味しく作ることができる点もうまく続けることができた要因だと思う。

しかし、やはり極端な方法であることは違いなく、副作用としてアシドーシスになる危険性もある。

ケトアシドーシス
https://www.dm-town.com/life/know03.html?link_id=sd03

そのため実践するにはケトスティックを使用してケトン量を把握することが必要になる(ケトン量は多すぎず少なすぎずが重要)。

厳格な食生活とケトン量の把握が求められるため、実践するには相応の知識が必要になる。こうした点から、バリエーションとしては面白いものの一般の人にはあんまり向いていないのではないかと思う。ただし例外として、トレーナーがついてやる分には悪くない方法かなとは思う。

というわけで現在はケトジェニックが終了し、ローファットに移行した。目標までもう少し。減量している人は一緒に頑張りましょう。